沖縄旅行の計画を立てるなら、ぜひ組み込んでほしいのが、那覇市首里エリアの観光です。かつて琉球王国の都として栄えた首里には、歴史と文化が色濃く残っています。

世界遺産にも登録されている「首里城」と、琉球王国時代から続く老舗酒造「瑞泉酒造」。この二つを巡ることで、沖縄の歴史と文化を深く知ることができます。

ホテルコレクティブを拠点に、ゆいレールを利用する場合は、「美栄橋駅」から「首里駅」まで約30分と気軽にアクセスできます。

ゆいレール首里駅を降りて徒歩10分、琉球王国の栄華を物語る「首里城」は沖縄の歴史を語る上で欠かせないシンボルとして1429年から1879年までの約450年間、琉球王国の中心として栄華を極めました。第二次世界大戦で焼失しましたが、1992年に復元され、2000年に世界遺産に登録されましたが、2019年の火災で正殿が焼失してしまったのは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。

2026年秋の完成を目指し、2022年11月に再建工事が本格的に始動した首里城。現在の状況を巡ってみました。

首里城の正殿に向かう道の途中にあるのは「瑞泉門」。「瑞泉(ずいせん)」とは「立派な、めでたい泉」という意味があり門の手前右側にある湧水が「龍樋(りゅうひ)」と呼ばれ、正式名は「瑞泉」で、この泉に因んで名付けられたのが瑞泉酒造になります。

首里城正殿のある「御庭（うなー）」へ入る最後の門で、この門を抜けると本来なら正殿が広がる。

2019年10月31日に発生した火災では、正殿や南殿、北殿など、全部で９つの施設が焼失しました。2026年の正殿の復元完成を目指し、現在進められている復元工事の進捗が見学ができ「見せる復興」がテーマとなっています。

完成まで残り２年、作業が進む復元現場

作業場を囲うように窓ガラスが設置され、木材を加工する職人たちの技を目の前で見ることができます。作業は日々変わるので、何度訪れてもその時にしか見られない復興現場に立ち会える「見せる復興」ならではの見学ができます。

琉球王国時代から続く酒造所「瑞泉酒造」

首里城から徒歩10分と近くにある「瑞泉酒造」。琉球王国時代、首里三箇と呼ばれ首里の城下町、崎山・赤田・鳥堀でのみ泡盛の醸造を許可し製造が認められた酒造所のひとつになります。

首里で泡盛がつくられていたのは王府の近くで管理がしやすかったことと、お酒作りに欠かせない湧水が豊富だったという理由から。

首里城周辺には龍潭池や円鑑池、坂をくだった儀保には「宝口樋川」（タカラグチヒージャー）があり湧水が滝のように流れています。高台の首里が水に恵まれているのは、琉球石灰岩の透水性とその下の粘土層の不透水性によるもので、これらの地形のおかげで、首里には多くの湧水が湧き出ており、泡盛造りのための豊富な水があった背景があります。

瑞泉酒造さんでは工場見学ができ、DVD鑑賞では瑞泉酒造の成り立ち、琉球泡盛の製造方法、戦前の黒麹菌を使用した「御酒（うさき）」の開発に至るまでの軌跡を視聴できます。

泡盛の古酒（クース）の造り方の説明、親酒（最も貯蔵年数の長い酒）を準備し、年代順に酒を揃え、親酒から汲み出した量を新しい泡盛で補充する仕次ぎによって脈々と引き継がれ伝承されていくお酒で、時がきざまれればそれだけ、丸みのある豊かな味わいになるそうです。

次に工場の案内があり、泡盛作りに使われるタイ米と沖縄の温暖で多湿な気候風土に合う黒麹菌でつくるもろみは他の麹菌に比べ酸度が高く、沖縄の気候での酒造りに適しているそうです。

工場見学の後には、泡盛の試飲もでき、様々な種類の泡盛を飲み比べ、自分好みの泡盛を見つけることができます。日本酒や焼酎、泡盛といった日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しで、そのなかでも泡盛は日本で一番古い蒸留酒と言われています。登録を機に、国内外にその魅力を更に発信していく絶好の機会になると思います。